弾性塗料とは?塗り方の種類とデメリット

弾性塗料とは

弾性塗料とは、塗料の中に伸縮性効果が期待できる硬化剤が配合されている塗料になります

JIS規格6909では、気温20度で伸び率120%以上の性能がある塗料を弾性塗料と規定しています。

一般的には可塑剤(塗膜を柔らかくするために樹脂)が配合され塗料に伸縮性を持たせていますが、樹脂そのものに伸縮性のある弾性塗料もあります。

弾性塗料は、塗膜が伸びてくれるのでクラック(ひび割れ)への追従性が期待でき、雨漏りの予防などに効果を発揮することができる塗料です。

塗装の際には塗膜に厚みを持たせるように、厚く塗る必要があります。

そのため、塗料の使用量は増える傾向にあり1缶当たりで塗装が出来る面積が少なくなるというデメリットもあります。
(下塗りのシーラーや上塗りの使用量はあまり変わりません)

主に、モルタルやコンクリート外壁などのクラックリスクの高い外壁との相性の良い塗料で、既にクラックが起きている外壁に対しても再発防止の効果が期待できます。
(大きなクラックにはUカットなどの下地処理が別途必要になります)

ただ、全てのクラックに対応できるわけではなく地震・台風・軟弱地盤など予想を越えた震動、従来の壁と違った特殊構造(特殊な力)などにより、本来のクラック追従性を発揮できない場合があります。

弾性塗料の塗り方(仕上げ方)の種類

弾性塗料は塗膜に厚みを持たせて伸縮性を実現していますが、その仕上げ方には主に3つの種類があります。

それぞれに特徴がありますので、一つずつ紹介します。

下塗りに微弾性フィラーを使う工法

下塗りに微弾性フィラーを使う工法イメージ図
下塗りに微弾性フィラーを使う工法イメージ図

下塗り塗料に微弾性フィラーを使うことによって、下地のクラックに追従性効果が期待できる塗装方法です。

微弾性フィラーとは、下地と上塗り塗料の密着効果も期待できる下塗り弾性塗料です。

厚い塗膜を作るために砂骨(さこつ)ローラーを使って塗装するのが一般的です。

上塗りで使用する塗料を自由に選ぶことができるので、価格や色など施主の希望の範囲で決めることができるというメリットがあります。

ただ、一般的に使われる下塗り塗料であるシーラーよりも密着性は劣るので耐久性の部分が低いというデメリットがあります。

小さいクラックなどであれば十分微弾性フィラーで補修することができますので、それほど劣化していない外壁で、今後のクラックリスクを軽減したい人には微弾性フィラーを使った工法がおすすめです。

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単層弾性工法

単層弾性工法イメージ図
単層弾性工法イメージ図

単層弾性工法は、下塗には密着性の強いシーラーを使って上塗り使用する塗料で厚膜弾性塗料を使って仕上げていく塗装方法です。

下塗り(シーラー)後に、孔が開いているローラーで厚く模様を付けて塗装し、2回目は少し希釈してスポンジローラーで仕上げるのが一般的な単層弾性工法です。

コスト的にも安価にクラックへの対処ができるというメリットがある為、一般住宅への弾性塗料の最もポピュラーな使い方になります。

ただ、防水機能を高めることを観点に考えると、塗膜の厚みに関しては少々物足りなくなりがちです。

複層弾性工法

複層弾性工法イメージ図
複層弾性工法イメージ図

複層弾性工法は、下塗り(シーラー)後に、高弾性の中塗り塗料を2回塗装し、その上に通常の塗料を2回塗装する塗装方法です。

下塗りを入れて合計5回塗りとなり、弾性塗料を挟み込むようにするので、厚い塗膜が形成され防水機能、クラックリスクの低減、外壁保護力と他の二つと比較しても圧倒的に高い効果が期待できるというメリットがあります。

ただ、価格が高くなり工期も長くなるというデメリットがあるので一般住宅へはあまり使われていません。

昔からある塗装方法で、弾性塗料が最も効力を発揮してくれます。

複層弾性工法は非常に防水機能の効果の高い塗装方法ではありますが、それでも適切な下地処理を施さなければ高い効果は発揮されません。

特に金属性の外壁の場合には念入りななケレン作業を施さないと塗膜が剥がれやすくなってしまいますし、完全硬化後には割れやすい塗膜となってしまいます。

複層弾性工法は、適切な方法(下地処理、乾燥時間、希釈量)で塗装することができれば耐久性も高くなりますが、屋根や他の付帯部と一緒にメンテナンスを考えている方であれば、同じく屋根や付帯部への塗装に関しても耐久性の高い塗装を施す必要があります。

ケレン作業とは、塗装する面に対して塗料の密着を良くするために行う作業全般を言います。

主に金属・木材・窯業(ようぎょう)系サイディングに施しますが、コンクリートやモルタルに施すケレン作業もあります。

サイディング・ALCパネルに弾性塗料を使う際には注意が必要

弾性塗料の不具合事例(膨れ)
弾性塗料の不具合事例(膨れ)

モルタルやコンクリート外壁には優れた防水機能、クラック追従性が期待できる弾性塗料ですが、サイディング外壁・ALCパネルに使用する際には注意が必要です。

サイディング外壁は、断熱材などの影響で下地が高音になりがちで、ゴム製の弾性塗料は内側からの熱によって柔らかくなります。

その柔らかくなった塗膜とサイディングの間に空気を巻き込むようになり、塗膜の膨れが発生してしまいます。

また、サイディング外壁の劣化としては目地のシーリングが剥がれてきたりひび割れしてきたりなどの症状がありますが、シーリングのひび割れには弾性塗料では役不足で追随することはできません。

特に窯業サイディングは表面がツルツルとしていることもあって、弾性塗料とは相性は悪いとされています。

ALCパネルとは、軽量気泡コンクリート建材ですが、ALCパネルは熱を溜め込む力が強いため、塗膜に細かな破断などが起こると水分が塗膜とALCの間に侵入、気泡だらけのALCは豊富に水を吸い、太陽熱で高圧で蒸発し膨れ上がってしまいます。

単層弾性工法、複層弾性工法だけでなく、サイディング・ALCパネルには微弾性フィラーも使わないほうが賢明でしょう。

弾性塗料の唯一のデメリットは汚れやすさ

弾性塗料の汚れイメージ写真
弾性塗料の汚れイメージ写真

クラックに追従してくれる高機能な弾性塗料ではありますがデメリットは汚れやすさです。

弾性塗料の塗膜は柔らかい性質のため、空気中のゴミ(排気ガス・チリ・砂など)が付着しやすい傾向にあります。

建物周辺に幹線道路や畑などがある場合は、特に汚れやすいので注意が必要です。

一度弾性塗料が施してある外壁にゴミが付着してしまうと、塗膜内部に入り込んでしまうので高圧洗浄など強い力が必要になります。

弾性塗料を使う際は、周囲の環境に注意して使うようにしてください。

主な弾性塗料比較一覧表

塗料名メーカー溶剤伸縮率(気温20度)耐久性
EC-5000PCM(IR)アステックペイント水性1液型600%15年~20年
DANシリコンセラ日本ペイント水性1液型400%6年~8年
シリコンテックス関西ペイント水性1液型315%10年~15年
セラミクリーンエスケー化研水性1液型338%8年~10年

現在、各メーカーから性能の高い弾性塗料はいくつか発売されていますが伸縮性・耐久性に最も優れている弾性塗料はアステックペイントのEC-5000PCM(IR)になります。

EC-5000PCM(IR)には、配合されているピュアアクリル樹脂に伸縮性がある為、他メーカーで使用されている可塑剤が使われていません。

そのため、長期にわたって伸縮性の高い塗膜を保つことができます。

弾性塗料の中では頭一つ抜きに出て性能が高いのはEC-5000PCM(IR)になります。

なお、EC-5000PCM(IR)に関しては別ページで詳しく特徴などをまとめましたので、そちらのページをご覧ください。

弾性塗料はクラックに追随してくれるのでおすすめ

弾性塗料はモルタルやコンクリートのデメリットを補完する塗料として非常に高い効果を発揮してくれます。

その反面、モルタルやコンクリート外壁は水を使って砕石や砂と練り合わさり乾燥させて造る性質な為、乾燥するとことで収縮し、どうしてもクラックが生じやすくなってしまいます。

ただ、希釈量や乾燥時間などの適切な塗装を施さなければ意味をなさないばかりか、塗膜が割れやすくなるなどの症状も引き起こすことになるため、塗装する業者の質にはこだわったほうがよいでしょう。

また、サイディング(特に窯業サイディング)に弾性塗料を使う際は注意が必要です。 どんな塗料にも一長一短ありますので、外壁材にあった塗料を使うようにしましょう。

⇒ 外壁材の種類とおすすめの塗料

希釈量の目安として使用したペンキ缶の数も報告してもらうようにすると業者側の不正防止にも繋がります。

モルタルやコンクリート外壁の建物には弾性塗料をおすすめします。

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