年度 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
---|---|---|---|---|
訪問販売によるリフォーム工事 | 8,786 | 9,753 | 10,076 | 1,238 (前年同期991) |
点検商法 | 7,024 | 7,431 | 8,133 | 1,082 (前年同期796) |
上記のデータは、国民生活センターに寄せられた、リフォーム工事(『屋根工事』『壁工事』『増改築工事』『塗装工事』『内装工事』)に対する訪問販売による消費者からの相談件数の推移です。
2022年においては、直近で一番多くの相談件数となっています。
特に外壁塗装を含むリフォームの業界はまだまだ訪問販売による営業手法が根強く残っていて、中には悪徳な手法で営業をしている業者もいます。
訪問販売自体は違法でもありませんし、訪問販売を行う全ての業者が悪徳業者というわけでもありません。
ただ、現実に訪問販売を行う悪徳業者が存在し、毎年一定数の割合で被害に遭われている状況を考えれば、消費者は対策を取っておく必要があると言えるでしょう。
このページでは、外壁塗装の訪問販売でトラブルに遭われた方の口コミ、訪問販売業者が使う手口や営業トーク、訪問販売に対する対策を紹介します。
記事サマリー
訪問販売業者がよく使う手口・営業トーク
『訪問販売』と聞くと、『私は大丈夫』と考える方も多いかと思いますが、営業マンもプロなのでそうゆう人に、さまざまな方向から話しを振って会話の糸口を掴んでいきます。
ただ外壁塗装において、訪問販売業者が使う営業トークや手口はそれほど種類があるわけではないので、確認しておきましょう。
点検商法
リフォームにおける相談件数のダントツトップが点検商法によるものです。
点検商法とは、『この地域を無料で点検に回っている塗装業者です』と挨拶に来る訪問販売になります。
詐欺などでもよく使われる手口の一つです。
ポイントは『この地域』ということと『あくまでも点検で回っている』というです。
『この地域で』と言うのは、この家だけでなく近隣のお宅も点検させてもらってますということを営業トークで匂わすことにあります。
この安心感から無料だし点検も必要だよなって考えて点検させることを許してしまいます。
そうなると営業マンは点検する必要がある事が分かっていて、訪問しているケースが多いので、外壁にヒビが入っていますやチョーキング現象(外壁を手で触ると手が白くなる現象)などを見せて、今すぐ塗装をしないと大変な事が起きますなどと脅して営業をかけてきます。
しかし、外壁のヒビやチョーキングに関しても早急にメンテナンスしなければいけない状況はかなり稀で、大概のお宅では少なからず起きている現象です。
『営業ではなく点検で回っています』というのは、消費者の気を緩めるテクニックの一つです。
点検からの営業になるわけですが、特定商取引法第3条『訪問販売における氏名等の明示』では以下として明文化されています。
販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売をしようとするときは、その勧誘に先立つて、その相手方に対し、販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をする目的である旨及び当該勧誘に係る商品若しくは権利又は役務の種類を明らかにしなければならない。
つまり、最初の挨拶の時点で営業目的で訪問している旨を消費者に伝えなければいけないということですね。
挨拶の時点で営業で訪問しているとの説明がない業者は違法業者である可能性が高いです。
また、外壁の無料点検ではなく、『シロアリ駆除』と称して床下の点検から外壁塗装のセールスをする訪問販売手法も昔からある手口です。
モニター商法
モニター商法とは、『この地域は実績が少ないのでモニター価格で塗装します』とうたって営業を仕掛けてくる訪問販売になります。
ここでのポイントは、あたかも正当な理由をつけて安くしているという安心感を抱かせることによって、価格に疑問を持たせないことにあります。
見積書に関しても、通常の価格から値引き額が数十万円としているケースが考えられます。
モニター商法に似ている営業で、キャンペーンをうたって挨拶に押しかけてくる業者もいます。
何にしても大幅な値引きはかなり危険だと考えた方がよいでしょう。
大幅な値引きで考えられることは、塗装回数の誤魔化し(3回塗らなければいけないのに2回しか塗らない)や無理な工期の短縮化(高圧洗浄や下塗り、中塗り、上塗りの乾燥期間を適切にとらない)による、塗膜の早期劣化トラブルに繋がります。
足場代無料
今だけ足場代無料のキャンペーンをしています、などと上手いことを言うのも訪問販売業者の常とう手段です。
これの悪い所は、見積もり上だけ足場が無料になっているだけで、全体的な価格は変わっていない点にあります。
外壁塗装の相場が分かっていない人は本当にお得になったように錯覚してしまうわけです。
そもそも足場代は一般家庭だと20万円~30万円が相場になりますので、それを無料にしてしまったら業者は商売あがったりなわけです。
ただ、まれに本当にキャンペーンを行っている業者もありますので、単純な足場代無料に目をくらませるのではなく、全体的な価格がお得なかどうか外壁塗装の相場を理解した上で判断するようにしてください。
判子を押すまで帰らない
いわゆる押し売りというやつですね。
高齢者などを狙っては、強引に家に上がり込み判子を押すまで帰らないという悪徳な業者も存在します。
高齢者を狙っての被害は毎年起きていて、訪問販売業者は最初良い人のような印象で家に上がり込み、説明が終わって高齢者が難色を示すと高圧的な態度に豹変して、判子を押させようとします。
そして、このような悪徳な業者は相場よりも高額な価格でしかも、手抜き工事をしてくる可能性が非常に高いのも特徴です。
しかし、高齢者への勧誘活動も特定商取引法第7条2項にて禁止されています。
老人その他の者の判断力の不足に乗じ、訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約を締結させること。
この条項には『未成年者、精神疾患者』も含まれています。
不当に不安を煽る
平成 30 年 4 月、屋外で作業していたところ、相手方が外壁塗装の営業に来たので、その日の夜
に改めて話を聞いた。相手方から、外壁のひび割れについて「早く塗装しないと大変なことにな
る。セラミック塗装なら 30 年持つ」と言われたので、外壁塗装と屋根塗装(合計約 200 万円)を
依頼することにした。翌日、再度相手方が来訪し、契約書を交わした。同年 5 月から塗装工事が始まり、2 日間の作業後相手方から、外壁、屋根、付帯部分のすべて
国民生活センターADRの実施状況と結果概要
の塗装が終わったと言われた。あまりに早かったので何回塗ったか尋ねたところ、契約時に 5 回
と説明を受けたにもかかわらず、下請け業者は 4 回と答えた。相手方の担当者は 5 回塗ったと主
張するが、2 日でそれだけの作業をすることは困難と思われる。それ以外にも、作業内容として
説明を受けた塗膜の剥がれ処理のための下地処理や目地の補修が行われていなかったり、当初は
「塗れるところは全部塗る」と説明を受けたのに、一部塗ってもらえない部分があるなど、契約
時の話と実際の作業内容が違う点がいくつもあった。
外壁を触ってチョーキング現象(塗膜が劣化して白い粉として現れる症状)が発生していることや、外壁のヒビ(クラック)を指摘して『今すぐ』外壁塗装しないと雨漏りやシロアリなどの大変な事になるなどと不当に不安を煽るのも訪問販売業者のよく使う手口です。
確かにチョーキング現象や外壁のクラックは劣化症状ではありますが、それらの症状が見られたからと言ってすぐに建物に不具合が生じるわけではありません。
また、外壁へのカビやコケ、藻なども劣化症状として訪問販売業者が営業トークの中に不安を煽る文句として入れる営業トークの一つです。
ちなみに外壁塗装工事のみでは雨漏りは止まりません。
雨漏りを直すためには、別途雨漏り修理が必要です。
訪問販売業者は外壁塗装で雨漏りも直りますなどと営業トークすることもありますので、雨漏り修理方法や外壁塗装に追加される金額の確認も行うようにしてください。
雨漏りトラブルの修理費用や直す方法については別ページにまとめましたので、そちらのページをご覧ください。
訪問販売業者の営業マンの質が低いのは離職率が高いため?
訪問販売による販売がトラブルへと発展してしまう理由の一つに営業マンの質の低さがあります。
これは訪問販売業界全体に言えることですが、離職率の高さから不慣れな営業マンが一般家庭を訪れることでトラブルが発生しています。
外壁塗装を含む不動産業界全体の離職率データ(厚生労働省)では毎年ワースト5に不動産業界が入っています。(平成29年度はワースト3位)
もちろん全ての営業マンが不慣れなわけではありませんし、中にはベテラン営業マンもいますが、全体的な総数で言えば圧倒的に不慣れな営業マン(入社一年未満の新人営業マン)が多いという話しですね。
その証拠に、コンビニや駅などに置いてある求人誌では毎月のように訪問販売による営業マンの求人内容を目にするかと思います。
あれは決して業績好調のためではなく、単なる離職率の高さゆえの補充要因による求人です。
訪問販売業者から外壁塗装をセールスされた際は、必ず担当営業マンの実績(勤続年数・過去の顧客数など)は確認しましょう。
訪問販売業者がよく使うオリジナル塗料とは
オリジナル塗料とは、外壁塗装業者が独自に開発製造した塗料です。
一般的には、外壁塗装や屋根塗装では日本の大手3大塗料メーカーである『日本ペイント』『関西ペイント』『エスケー化研』から製造販売されている塗料を仕入れて、建物へ塗装を行います。
しかし、オリジナル塗料では大手メーカーからの仕入れを行わずに、自社で塗料の製造と販売を行っていくことを目的とした塗料です。
通常の場合、オリジナル塗料は他社へ商品を卸すことはしないので、その会社だけが使用する塗料ということでオリジナル塗料と言われます。
では、なぜ訪問販売業者が大手メーカーから塗料を仕入れずに自社で塗料の開発を行うのかと言えば利益の高さを目的としているわけです。
当たり前のことですが、大手メーカーから仕入れればそこには塗料の製造コストが乗っかった代金が塗料の価格です。
これを自社で製造して販売すれば、大手メーカーへ支払う製造コストを削減できるため、業者はオリジナル塗料を開発して販売まで行っているわけです。
ただ、このような真っ当な理由のほかに、いわゆる悪徳訪問販売業者が使う手口としてもオリジナル塗料は度々使用されることがあります。
悪徳訪問販売業者がオリジナル塗料を使う理由は、単に利益をだけを追求しているので、塗料の中身は大手メーカーの塗料を使用し、ペンキ缶とラベルだけをオリジナルで作って、見栄えだけを整え、大手メーカーの塗料よりも高く売るというものです。
具体的には言えば、現在一般的に外壁塗装で使用される塗料のグレードにシリコン塗料がありますが、シリコン塗料でも溶剤系の2液型のシリコン塗料と水性シリコンでは価格が2倍も違ったり(溶剤系塗料の方が高い)耐候性が弱いUV非対応の塗料であったりするわけです。
このような塗料を『自社で開発しているため格安です』と、販売して本当は塗料を薄めているだけという悪徳訪問販売業者もあります。
オリジナル塗料を使う目的は利益の追求であることは間違いありませんが、それを消費者のためにグレードを下げずに開発に務めているのか、単なる手抜きで利益を追求しているだけなのかに分かれるということですね。
訪問販売業者のメーカー保証に惑わされない
業者や塗料を選ぶ基準はいろいろありますが、その一つに塗膜の保証もとても重要な指標です。
外壁塗装の場合、塗装してもらっても早期の塗膜の剥がれなどには補償が適用され、ある一定期間無償で塗装をし直してくれるというものです。
オリジナル塗料でもメーカー保証という形で塗膜の保証をうたってはいますが、そもそも悪徳訪問販売業者の場合、長い目で経営を見ていないケースも多く数年で計画倒産してなくなっているケースもあります。
その後、塗膜の劣化が起きても保証は適用されず泣き寝入りというパターンです。
また、正規にオリジナル塗料の製造・販売をしている業者であっても、やはり中小企業の経営に関しては何が起こるか分からないのが現実であり、経済産業省が発表している企業の生存率の統計(中小企業白書2011)にも創業した会社の7割が10年後に倒産しているというデータも示している通り、中小企業の保証はそれほどあてにしないほうが賢明でしょう。
大手塗料メーカーでは認定施工店制度と言う形で保証を設けていて、メーカー側である一定の基準に達していない業者には塗料は扱わせず、その業者が施工した仕事で塗膜の早期劣化などが見られた場合には決められた保証年数の期間、再塗装を無償を行ってくれます。
単純に保証年数で比較するというよりは、企業の安定性という観点からもオリジナル塗料よりも大手メーカーの塗料の方が安心ということです。
全てのオリジナル塗料をすすめないわけではありませんが、やはり大手メーカーの塗料と比較すると『信用』『実績』『保証』の面で大手メーカーの塗料をおすすめします。
また、オリジナル塗料のデメリットとして使用者の数が圧倒的に少ないので(大手メーカーに比べて)価格を比較できないという点もあります。
提示された価格が適正価格なのか判断しづらいのは消費者からしたら不安材料になるでしょう。
塗料成分に極端に詳しい方や実験的に使うのであればよいかと思いますが、それ以外で訪問販売業者が勧めてくるオリジナル塗料はおすすめしません。
訪問販売への最も有効な断り方
契約を締結するつもりのない意思表示をしている相手方について、その場での勧誘の継続や再度の来訪による勧誘を禁止
特定商取引法改正
このように訪問販売業者は、あらゆる手口で消費者に近づいて不安を掻き立てたり、時には高圧的な態度で接してきます。
このような悪徳な訪問販売業者への最も有効な断り方は、ドアを開けないことです。
すごくシンプルですが、これが一番効き目があります。
インターホン越しやドア越しで話しを聞き、訪問販売だと感じたら『必要ありません』ときっぱり断るようにしましょう。
現在の法律では、一度断ったお宅への再訪問は禁止されていますので(特定商取引法第3条2項)、その業者が再度訪問して来たら警察を呼びなどの対処も行えます。
上記で紹介した訪問販業者の手口ですが、全て対面することで効力を発揮します。
なのでドアを開けずに訪問販売業者に対応することが最も賢明です。
しかし、庭の掃除をしていたり、ちょうど家に帰ってきたタイミングで営業を仕掛けてくる営業マンもいますので、注意が必要です。
なお、訪問販売営業によって強引に契約させられてしまった場合には、クーリングオフによって対処するようにしましょう。
玄関先のマーキングシールは剥がす
- ◎:契約成立
- AP:アポ成立
- ☆:押せば買う
- ✖:断られた
- K:玄関キック(ドアも開けられずに断られた)
- ケ:住人と喧嘩した
- B:ブラックリスト(ローンの審査が通りにくい)
- S:一人暮らし
- 金シール:お金持ち
- 黒シール:押しても出ない
- 白シール:インターホンに出る
訪問販売業者によってはマーキングシールや記号、暗号を玄関先に貼ってたり書いたりしておくことで、次回訪問のためのヒントを残す業者もあります。
かなり巧妙化していますね。
例えば、◎マークあったら業者はこのお客は過去に訪問販売で品物を買ったことがあるゆるいお客だなと感じてチャンスだと感じるわけですね。
このようなマーキングシールや記号が玄関先にあったら迷わず剥がしましょう。
日本訪問販売協会に属しているか否かで判断するのが手っ取り早い
第3条(正会員の要件)
(1)訪問販売又はこれに関連する事業を継続して1年以上行っているものであること。
(2)過去3年以内に法令等に違反して処分されたものでないこと(法人にあってはその役員に上記要件に該当する者がいないこと)。
(3)訪問販売業界の信用を失墜させるような行為をしたものでないこと(法人にあってはその役員に上記要件に該当する者がいないこと)。
(4)除名後少なくとも3年以上を経過し、当該除名理由となった事情が解消されているものであること。
(5)定款第46条に定める訪問販売消費者救済基金(以下「救済基金」という。)に加入する
全ての訪問販売業者が悪質な業者でないことは冒頭でも紹介していますが、悪質でない業者と悪質な業者の簡単な見分け方としては日本訪問販売協会(JDSA)に属しているか否かで判断することをおすすめします。
日本訪問販売協会とは、経済産業省の支援を受け、設立された訪問販売業者の自主規制団体です。
訪問販売業界をクリーンにしようとコンプライアンスセミナーや講習会を行っています。
訪問販売の相談にも乗ってくれます。
日本訪問販売協会の会員になるためには会費(正会員で10万円)が必要になりますし、コンプライアンス違反をした際には除名処分もあります。
会員一覧は日本訪問販売協会のホームページに明記されていますので、業者選びの参考にご覧ください。
外壁塗装の訪問販売まとめ
毎年6,000件以上の訪問販売によるトラブルが発生しています。
インターホン越しやドア越しで話しを聞き、訪問販売だと感じたら『必要ありません』ときっぱり断るようにしましょう。
外壁塗装の訪問販売によるトラブルはここ最近減少傾向にあります。
ただ実際は、外壁塗装失敗の声が数多くあるように、相場よりも高く契約してしまうトラブルはよく起こっています。
2022年7月には外壁塗装の会社が訪問販売で執拗な勧誘などをしたとして消費者庁が9カ月の業務停止を命じています。(詳しくは別ページの外壁塗装の悪徳業者一覧リストの見つけ方をご覧ください)
トラブル後も適切に対処することで被害は最小限に防げますが、やはりトラブルはストレスのかかる行為ですので、一番は悪徳な訪問販売業者とは関わらないことですね。
また、身内の方にも訪問販売への危険性を説いてあげるとよいでしょう。
ちなみに玄関先に『訪問販売お断り』などのシールがありますが、あのシールは単なるまやかしです。
訪問販売業者も『この家はあまり訪問販売されていないかもしれないからチャンスだ』と感じるんですね。
なお、外壁塗装においては訪問販売とともに電話営業(テレアポ)によるトラブルも多くあります。
別ページでしつこい電話営業による最適な対処方法のをまとめましたので、そちらのページもご覧ください。
⇒ 外壁塗装業者からしつこく電話がきたら本社へ電話してリストの削除
訪問販売業者が家に来ても冷静に、話しを聞いて必要であればその後も話しも聞き、必要ないのであればきっぱりと断るようにしましょう。
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