外壁塗装の工程では『下塗り(したぬり)』と言われるものがあります。
下塗りとは、高性能な上塗り塗料の機能を増すための下準備のことです。
一般的に外壁塗装では外壁に3回~4回塗装を施して綺麗で剥がれにくい外壁を表現していますが、その1回目に塗る作業が下塗りにあたります。
どんな外壁にも下塗りの工程を施します。
そんな外壁塗装にとって欠かすことのできない下塗りの主な役割を紹介します。
記事サマリー
下塗りの役割
下塗りの主な役割は3つあります。
一つずつ紹介します。
下地と上塗り塗料の密着性向上効果
外壁塗装では一般的に『下塗り』『中塗り』『上塗り』が行われますが、『中塗り』『上塗り』で使われる塗料には密着性の機能は含まれていません。
そのため、下塗り塗料が外壁材と上塗り塗料の間に入って両者を繋ぎ止める両面テープのような役割を担っています。
なので、上塗りで使われる塗料との相性も加味して下塗り塗料を選択することが大切になります。
一般的には塗料メーカーは上塗り塗料に合わせて下塗り塗料も開発していて、同じメーカーの下塗り塗料が使われることになります。
上塗り塗料 | 下塗り塗料 | メーカー |
パーフェクトトップ | パーフェクトフィラー | 日本ペイント |
アレスダイナミックトップ | アレスダイナミックフィラー | 関西ペイント |
エスケープレミアムシリコン | エスケー弾性プレミアムフィラー 水性SDサーフエボプレミアム エスケーハイブリッドシーラー | エスケー化研 |
クリーンマイルドフッソ | マイルドシーラーEPO 水性ミラクシーラーエコクリヤー 水性ソフトサーフSG | エスケー化研 |
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上塗り塗料が下地への吸い込み防止効果
外壁は劣化してくるとスポンジのように塗料を吸い込んでしまいます。
特に吸い込みが激しい外壁材としては木材、コンクリートがあります。
このような外壁に下塗り塗料を十分に染み込ませることで、上塗り塗料が下塗り塗料と上手く密着することができます。
そのため、劣化が進んでいる外壁には何度も下塗りによる重ね塗りをする必要があり、そのぶん費用も時間もかかります。
また、下塗り塗料と外壁材の相性も大切になってきます。
発色を綺麗に見せる効果
下塗りには最終的な仕上がりに左右する発色を綺麗に見せる効果の役割もあります。
以前の外壁よりも色味を薄く仕上げたい場合などによくあることですが、旧塗料の色が新塗料の発色を邪魔をしてしまうことがあります。
下塗り塗料と上塗り塗料が混ざり合う事はありませんが、濃い色と薄い色を重ねると濃い色が勝ってしまいます。
ただ外壁材がモルタルやリシンの場合には、下塗りをしても塗料が乾燥すると下地の色が透けて見えたりすることもありますので、その際には下塗りを2回施す場合もあります。
新塗料の発色を綺麗に出すために、下塗りでは白を使って行われることが多いです。
下塗りの役割を最大限発揮する為に規定量を守る
どの下塗り塗料もメーカーによって適切な規定量が決まっています。
下塗り塗料の場合、1㎡で200g~900gの範囲で決められていることが多いです。
なので1面の外壁面積30㎡で、1㎡の規定量500gであれば1面の下塗りで使われる下塗り塗料は15kg(30㎡×500g)ということになります。
そこから逆算して一度に使う分の下塗り塗料をバケツに作って下塗りを行っていく流れになります。
なお、規定量とともに重ね塗りの際の乾燥時間、希釈剤、希釈率、塗装方法も決められていますので下塗りの効果を最大限に発揮させる為に仕様を守る必要があります。
下塗りは仕上がりにも影響する大切な仕事
- 下地と上塗り塗料の密着性向上効果
- 上塗り塗料が下地への吸い込み防止効果
- 発色を綺麗に見せる効果
下塗りは上塗りによって決められるため、業者との打ち合わせにもあまり話題になりませんが、塗料の機能や仕上がりを左右する大切な項目です。
スキルの低い職人だと規定量が守れなかったり、外壁の劣化具合を見誤ってに十分染み込ませることができないこともあります。
また、手抜き工事の典型例でもありますが、塗料間の乾燥時間を適切に守らない事でも後々のトラブルへと発展します。
下塗りで使われる塗料は上塗りで使われる塗料や外壁材と相性が良いものか、下塗りは何回行うかなどの確認をすることで事前のトラブル回避へと繋がります。
あまり話題にならない下塗りだからこそしっかりと確認するようにしましょう。