記事サマリー
コンクリートの材質
まずセメント系の製品を整理しておきます。
モルタルは、セメント粉+砂+水を混ぜたもので構成されています。
これに砂利を加えたものがコンクリートです。
これらは混合状態の流動体も、硬化した固体もコンクリートと呼びます。
さらに、気泡を混ぜ込んで固めた製品が、ブロックなどの発砲コンクリートです。
セメント系の製品はみな多孔質(たこうしつ)な素地で、塗料に気泡ができやすく、粉ボコりが食いつき(密着)にくいなど、塗装条件としては不利に働きます。
コンクリートの材質の特徴、おすすめの塗料を紹介します。
コンクリートの外壁のメリット・デメリット
コンクリート外壁に適した塗料を選ぶ前にコンクリートのメリットとデメリットを確認しておきましょう。
そして塗料選びではそのデメリットの部分を補完するという意識を持つと良いでしょう。
メリット
強度が高い
コンクリートは他の外壁材と比較すると非常に頑丈で強度が高いです。
強風などの時の飛来物がぶつかってきても少々のキズは付きますが、建物にとって致命傷となるような損害を被りません。
また地震にも強く倒壊のリスクも極めて低いです。
コンクリートの建物には柱は使用されていませんが、さらに強度を増すためにコンクリートの中に鉄筋を入れて補強していく鉄筋コンクリートであればさらに高い強度の建物です。
独創性の高いデザインが表現できる
コンクリートはセメント粉、砂、水、砂利で構成されていますが、施工前に一つにして液状の型枠に流し込んで固めていくため、湾曲などの独創的なデザインの建物の表情を作ることができます。
そして仕上げで、塗装・タイル・石張りなどの仕上げ工程を省き、むき出しのままの状態のコンクリートで仕上げる打ち放しコンクリートなどで見た目的にもカッコよく仕上げることができます。
『デザイナーズ住宅』などと言われますが、コンクリートで造られている建物が多いのはさまざまな表情を作ることが出来るのが理由です。
防音性に優れている
コンクリート外壁には、内側がぎっしりと詰まっているので防音性に優れています。
そのため、外からの音はシャットアウトできますし、反対に中からの音も外に漏らすことはありません。
小さいお子さんがいる家庭で近所への迷惑を懸念しているお宅や、趣味で楽器を演奏される方などに重宝されている外壁です。
耐火性が高い
コンクリートは燃えませんから、火事になって建物が全焼するリスクがない、耐火性の高さもメリットです。
ただ、長時間火にあたっていても焼けることはありませんが黒っぽく焦げはします。
また、脱水によってひび割れが起きるなどの症状は出ますが、木造住宅などのように火事へと発展することはありません。
デメリット
ひび割れが発生しやすい
コンクリート外壁の一番のデメリットでもあるのが、ひび割れ(クラック)が発生しやすいということです。
コンクリートの主成分であるセメントの水和熱や外気温等による温度変化や乾燥によってコンクリートは劣化してひび割れが発生していきます。
また、地震には強い特徴がある反面、振動を逃がすことができないので外壁にひび割れがある建物をよく見ます。
ひび割れが発生すれば、そこから水が浸入して雨漏りの原因にもなります。
またせっかくカッコいい表情の建物なのにひびのせいで外観が崩れて建物の価値が大きく下がるということにも繋がります。
ということで、コンクリートの外壁にはあらかじめひび割れを想定した、ひび割れ目地(誘発目地)を設けて、ひびが発生してもその目地で起きるようにように設計して目地を作って、構造上問題なく設計されています。
なので、ひび割れが発生しやすい窓枠周辺や大きな面積の壁の近くに誘発目地が設けられています。
夏に暑く、冬に寒い
コンクリートの材質上熱伝導率が高い傾向にありますので、建物内が夏に暑く、冬に寒くなるというデメリットがあります。
熱伝導率は、熱の伝えやすさのことで値が大きいほど熱が伝わりやすいことを指しています。
コンクリートの熱伝導率は0.8~1.5で木(0.02)のおよそ12倍にもなります。
特に日本の高温多湿な気候下ではかなり過酷な環境となりがちです。
そのため、エアコンなどで調整することになりますので、通常の建物よりも電気代が高くなりがちです。
結露が発生しやすい
コンクリートは通気性が悪いため、特に冬場では結露が発生しやすいデメリットがあります。
結露の原因は、空気中の水分が、気温によって限界に達した時を露点と呼び、結露が発生します。
結露が発生して放置していれば、カビが発生し見た目的にも悪くなりますし、衛生的にもよろしくありません。
特に天井などに結露が発生しやすい傾向にあります。
結露への対策としてはこまめに雑巾などで拭くか、結露が起きやすい箇所へ直接空気と触れないように断熱シートで保護するなどの対策がとられています。
コンクリート外壁には水性塗料がおすすめ
コンクリートはみなアルカリ分を含んでいて、できたての表面や雨で溶けだしたアルカリが塗膜を侵します。
そのため、油性塗料では長持ちせず、コンクリート外壁には水性塗料が適しています。
その中でも『外壁用』や『スレート瓦用』塗料は最適に作られています。
一般的には、セメント系素材の塗装は『建物塗装』として考えられていて、屋外の用途になりますから、塗膜の耐久性が大切です。
屋外の環境下では紫外線と降雨、風などに耐えなければいけません。
また、広い面積では、遠目で見た色アジの均一さも大切です。
しかし、それらを優先していくと『外壁用』塗料は白っぽい色ばかり、また『スレート瓦用』はくすんだ色という限られた選択になってしまいます。
壁や屋根は簡単に塗りなおすことができないので、これらのことを頭に入れながら最適な塗料を選択していきます。
コンクリート外壁におすすめは弾性塗料
コンクリート外壁には弾性塗料がおすすめです。
弾性塗料とは、塗料の中に伸縮性効果が期待できる硬化剤が配合されている塗料です。
コンクリートのようにひび割れが発生しやすい外壁材にはひび割れに追従して、雨漏りの予防などに効果を発揮してくれます。
弾性塗料の仕上げ方には『下塗りに微弾性フィラーを使う工法』『単層弾性工法』『複層弾性工法』とありますが、複層弾性工法が最も防水機能の効果の高い塗装方法です。
詳しい弾性塗料の特徴や工法に関しては別ページで紹介していますので、そちらのページをご覧ください
コンクリート外壁にはつやなし塗料がおすすめ
コンクリート外壁は見た目がとてもスタイリッシュなのでとても人気のある外壁材ですが、デメリット部分(ひび割れ、熱伝導、結露など)を意識して塗料を選ぶとさらに快適に過ごすことができます。
その際は、塗料によるつやも意識して選ぶことをおすすめします。
コンクリート外壁では、その雰囲気を大切にする意味でつやなしか3分つやの重厚感のある表情がおすすめです。
#外壁塗装 #コンクリート外壁