外壁塗装の価格の10%~15%を占めているのが足場代になります。
ただ、足場の種類によって価格も変わってくるので、外壁塗装の費用を削減する為にも予算に合わせて足場を選ぶのも手です。
外壁塗装で使われる足場の種類と、費用相場、計算方法を紹介します。
2024年4月に足場設置に関する法改正が行われ本足場(支柱を二列にして組み立てる足場)が義務化されました。
本足場の説明や法改正が外壁塗装にどのように関係するかも紹介しています。
なお早見表として一般的な2階建て住宅の足場代を掲載しておきますので参考にご覧ください。
記事サマリー
足場代早見表
延べ床面積 | 足場代 |
---|---|
20坪 | 124,000円~135,200円 |
25坪 | 136,000円~147,200円 |
30坪 | 148,000円~159,200円 |
35坪 | 160,000円~171,200円 |
40坪 | 172,000円~183,200円 |
45坪 | 184,000円~195,200円 |
50坪 | 196,000円~207,200円 |
55坪 | 208,000円~219,200円 |
60坪 | 220,000円~231,200円 |
65坪 | 232000円~243,200円 |
70坪 | 244,000円~255,200円 |
75坪 | 256,000円~267,200円 |
80坪 | 268,000円~279,200円 |
85坪 | 280,000円~291,200円 |
90坪 | 292,000円~303,200円 |
95坪 | 304,000円~315,200円 |
100坪 | 316,000円~327,200円 |
足場の種類と単価
一口に足場と言っても、その種類はとても多くあり、特徴や費用もバラバラです。
一般住宅における外壁塗装で使用されている、代表的な足場は以下の3種類になります。
- 単管足場
- くさび緊結式足場
- 脚立足場
他にも、移動式や吊り足場、枠組み(ビティ)足場などもありますが一般住宅の外壁塗装で使用されることはほとんどありません。
単管足場(700円~1,000円/㎡)
単管足場(たんかんあしば)とは、鉄パイプとクランプ(金具)をかみ合わせ、ボルトを締めて接合する足場になります。
鋼管を主体とした足場で本足場、棚足場、一側足場などに使われます。
一般住宅ではよく用いられる足場で、建物と建物の間が比較的狭い場所でも足場組みができ比較的安価な足場という特徴があります。
単管足場の相場は、1㎡あたり700円~1,000円になります。
外壁塗装で使用される足場の中では安い足場になりますが、基本的に鉄パイプ2本(抱き足場)の上に足を乗せて塗装を行う事になりますので、安全性に劣るというデメリットもあります。
安全面を考慮した単管に足場板を装着する単管ブランケット足場もあります。
足場組立の際にはボルトを締めて固定させていくので騒音は少ないです。
ただ、1972年に労働安全法の施行(作業床の幅40㎝以上、床材間のすき間3㎝以下、転落のおそれのある開口部等への手すりの設置など)されたことや、より安全な足場が登場したことなどによる背景で単管足場による施工は徐々に減少しています。
単管足場は都心部などの建物間隔が狭い現場で施工する建物によっては重宝される足場になりますが、今は職人さん達からも不評です。
また、ページ後半で紹介する改正労働安全衛生規則(2024年4月)により外壁塗装の現場では使用されなくなります。
くさび緊結式足場(800円~1,000円/㎡)
くさび緊結式足場 (くさびきんけつあしば)とは、鉄パイプをくさびのようにハンマーでジョイントさせる足場になります。
ハンマー一つで組み立てることができる簡便性によるコストの削減と、簡易的な組立でしっかりとした足場が組めるので工期の短縮効果がのぞめます。
その反面、組み立ての際にはハンマーで叩く音や職人の声掛けが必要になるので、単管足場に比べてある程度の騒音が発生するというデメリットがあります。
くさび緊結式足場の相場は、1㎡あたり800円~1,000円になります。
現在、一般住宅の外壁塗装で用いられる足場はくさび緊結式足場が主流になります。
ちなみに、くさび緊結式足場は通称ビケ足場とも呼ばれています。
脚立足場(360円/㎡)
脚立足場とは、同じ高さの脚立を並べて足場板を装着する足場です。
2つ以上の脚立に、直接足場板を架けわたすものと、多桁・多列に配置した脚立に大引・根太を架けわたし、その上に足場板敷いて棚足場とするものがあります。
最近では、脚立と足場板が作業台も出ています。
脚立足場は、平屋などで用いられることがありますが、基本的には脚立を並べて足場板を装着するだけなので費用はかなり安いです。
しかし、あまりに簡易的な組み立てなので安全性には劣ります。
脚立を均一に並べることや、脚立同士を離しすぎないなどの注意点があります。
脚立足場の相場は、1㎡あたり360円になります。
足場費用の計算方法
外壁塗装の見積もりでは、必ず足場の費用も計上されています。
足場架面積とは、実際に足場をかける面積のことで建物の外周(プラス8m)×高さで求められます。
塗装面積の求め方については別ページの『外壁塗装面積(平米数)の簡単な出し方』をご覧ください。
プラス8mは足場は建物と少し離れた所に設置する為です。
《くさび緊結式足場の計算例》
- 外周40m
- 高さ6m
- くさび緊結式足場単価1,000円
(40m+8m)×6m=288㎡(足場架面積)
288㎡×1,000円=288,000円(足場代)
だいたい35坪あたりの2階建ての建物だと外周40m、高さ6m程度になりますので一つの目安にしてもらえればと思います。
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外壁塗装で足場の必要性
足場とは、建物周囲に一本一本の鉄パイプをジョイントさせて建物を施工・作業する際に用いる簡単な建築物です。
外壁塗装の場合には、平屋の場合には脚立だけで足場を組まないケースもありますが、建物外壁の人が手を伸ばしても届かない部分や屋根塗装などの時に足場組みが行われます。
ちなみに平成31年1月から令和元年12月までの建築作業における死亡災害の約26%(死傷者216人)が高所からの『墜落・転落』によることだったと厚生労働省からも発表されており、そういった災害を防止する目的でも足場は使用されていています。
現状、平屋の建物が少なくなってきているので、外壁塗装や屋根塗装のほとんどのケースで足場を組んで塗装が行われています。
ちなみに狭小地(きょうしょうち)に建てられた建物では敷地内に足場を設置するスペースがないこともあります。
このような場合にはお隣の敷地を借りたりロープアクセス工法を使うなどして対応します。
足場組立時間は5時間~8時間
足場の組立時間は、一般的な建物(30坪~40坪住宅)で5時間~8時間程度で完了します。
組立に必要な職人の数は2~3人になります。
外壁塗装では施工の一日目に足場の組立が行われる事になりますので、一日目は足場の組立だけで終わる事が多くなります。
そのため、朝から『カンカン』と言った騒音が一日中近隣に響くことになります。
ちなみに足場の解体時間は組立時間の約半分の2時間30分~4時間で完了します。
足場組立時に一番多いのは近隣からの騒音トラブル
最近の主流がくさび緊結式足場になることから、足場組立時には近隣からのクレームが入る事もあります。
近隣トラブルは、その後の付き合いもあることから必ず避けたいトラブルになります。
トラブルを避けるためにも、外壁塗装前には近所への挨拶周りは必須になります。
実は外壁塗装の近隣トラブルの原因のほとんどは挨拶回りをないがしろにしたことにあります。
クレームが入らなくても騒音が発生することに変わりはありませんので、近所への挨拶回りは必ず行うようにしましょう。
足場に取り付けられる飛散防止ネットも重要な役割
外壁塗装の際には足場と一緒に飛散防止ネットも装着されます。
飛散防止ネット(ひさんぼうしねっと)とは、高圧洗浄を行う際の水しぶきや塗料などが近隣へ及ばないように、建物をメッシュ状のシートで覆うネットになります。
外部からのホコリが外壁に付着することを防ぐ役割も担っています。
飛散防止ネットの相場は、1㎡あたり100円~200円になります。
業者によっては、風で吹き飛ばされそうなペラペラな飛散防止ネットや、やたらと汚い飛散防止ネットを用意してきたり、建物全体を覆わずが塗装面だけに飛散防止ネットを施していたり、最悪の場合には飛散防止ネットを使わない業者もいます。
飛散防止ネットは近隣へのマナー、外壁の仕上がりに大きく影響するので必ず確認するようにしましょう。
もちろん、飛散防止ネットを適切に使わない業者は論外ですので早急に別業者に相談しましょう。
屋根部には親綱の設置もする
屋根での塗装の際には、足場に親綱(おやつな)と言われる命綱を設置します。
冒頭でも紹介したように、建設現場における事故で一番多いのは落下による事故になります。
そうした現状を踏まえて職人の安全保護の観点から、現在の屋根現場では労働安全衛生法に基づき親綱が義務化されています。
第521条事業者は、高さが2メートル以上の個所で作業を行う場合において、労働者に安全帯を使用させるときは、安全帯等を安全に取り付けるための設備等を設けなければならない。
労働安全衛生法
通常、屋根部の足場は、親綱の設置の為に数本長く伸びていて、そこに親綱を連結させて職人の落下防止に務めています。
また、その親綱にも緊張器(きんちょうき)が付属されて、後ろへの落下にも強く改良が加わっています。
2024年4月から全ての外壁塗装現場で本足場の義務化
令和6年4月日以降、幅が1メートル以上の箇所において足場を使用するときは、原則として本足場を使用する必要があります。なお、幅が1メートル未満の場合であっても、可能な限り本足場を使用してください。
改正労働安全衛生規則
つり足場の場合や、障害物の存在その他の足場を使用する場所の状況により本足場を使用することが困難なときは本足場を使用しなくても差し支えありません。
2024年4月より改正労働安全衛生規則が改正され、本足場を使う事が義務化されました。
本足場の義務化は外壁塗装の現場でも適用されます。
本足場とは、二側足場とも呼ばれますが、二列になった足場のことです。
一列の足場のことは一側足場や単管足場と呼ばれます。
二側足場は一側足場と比較して安全性が高い足場ですが、その分費用は高くなります。
ただし、足場設置の幅が1メール未満であれば、これまで通り単管足場でも構いません。
今回の法改正では足場から敷地内境界線まで1メール以上ある建物で影響があります。
足場の相場は20万円~30万円
足場は外壁塗装にとって、職人の保護、塗装の仕上がり具合にかなり影響を及ぼす大切な役割を担っています。
一般的な家庭であれば、足場の費用相場は20万円~30万円の範囲になりますが改正労働安全衛生規則によって相場自体は上がる見込みです。
業者からの提案で足場についても適切に説明があるようだと信用性がありますね。
業者によっては『足場代無料』をうたっている所もありますが、よく聞いてみると労働安全法に違反している足場だったり、足場代が塗装代に紛れていたりしているケースもあります。
足場代無料については別ページの『外壁塗装の足場代無料のカラクリ』をご覧ください。
ちなみに、都心部などの狭小地に建つ建物では足場の設置スペースが取れない所もありますが、お隣の敷地を借りたり足場を使わないロープアクセス工法などもあります。
今回紹介した各足場の相場を参考に、提案された見積書が適正なものか判断するようにしましょう。
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