軒天(のきてん)とは、屋根の裏側の天井の事で外壁から外側に突き出して見える部分を言います。
軒裏(のきうら)、軒天井(のきてんじょう)、軒先(のきさき)などとも呼ばれます。
軒天の主な役割には以下の3つがあります。
- 外壁保護
- 外観上の美観
- 屋根裏換気
このページでは外観上の美観に影響する軒天のおすすめの色や軒天塗装にかかる費用相場などを紹介します。
色選びは外壁塗装において、楽しい作業でもありますが、その反面とても頭を悩まさせる作業でもあります。色選びでは、自分の好みの色に加えてその年の流行色などを取り入れて検討するとスムーズに決まることがあります。
別ページでは、当サイトが2019年に外壁塗装を行った384人にアンケートして人気の色を算出しましたので、色選びの参考にしていただければと思います。
記事サマリー
軒天おすすめ色
白
軒天は屋根の裏側になることから明るい色を選択する方が多く、その中でもダントツで人気の色は白です。
白は屋根や外壁の色に問わず相性の色になりますし、軒天の色に迷ったら白で間違いないと言える色です。
白と相性の良い色としては、黒や赤などの比較的濃い色と相性が良いでの、外壁に濃い色を選択される方は白色をおすすめします。
ただ、白は汚れが目立つ色でもあるので、湿気が溜まりやすい軒天ではカビや藻などの黒ずみが目立ちやすいというデメリットもあります。
クリア(透明色)
白についで人気なのがクリア(透明色)です。
クリア塗装では軒天の素材がそのまま表れることになり、特に軒天の材質が木材調のものは最近流行っていますのでクリア塗装が良く栄えます。
ただ、クリア塗装は劣化が激しい軒天に使用してしまうと、みすぼらしい印象を与えてしまう事にもなるので、クリアを選択する軒天は新築から10年未満の建物がおすすめです。
黄色
明るい人気色である黄色も軒天によく使われる色です。
黄色では濃い黄色よりも薄い黄色が特に人気の色です。
黄色と相性の良い外壁の色としては、青や赤(ピンク系)などの爽やかなイメージの色です。
黄色はビビットカラーですが、軒天に使う事で差し色効果がのぞめます。
比較的、どの外壁の色とも合います。
黒
外壁に白を選ばれる人には、軒天の色は黒がおすすめです。
屋根との一体感も出てかなり建物のイメージがかっこよくなります。
なお、その際は屋根の色も黒系に統一すると建物の印象がグッと引き締まります。
黒と相性の良い色は、白や黄色などの薄い色です。
クリーム色
クリーム系の色は外壁の人気色の定番でもありますが、軒天でも人気の色です。
具体的には、『ライトクリーム』『ホワイトリリィ』『サンダルウッド』などのクリーム色が人気の色です。
クリーム系の色は外壁でも使用されることが多い色でもありますので、建物の統一感を演出したい人におすすめの色です。
クリーム系と相性の良い外壁の色は、薄い青、薄い緑です。
建物との相性で色を決めるのが大切
軒天におすすめの色を紹介してきましたが、軒天の色選びで大切になるのは建物全体との相性になります。
建物全体で統一感を演出したいなら、外壁と屋根と同じ色で揃えるなどはおすすめです。
また、軒天をアクセントにして外壁や屋根とは全く違う色を選択するのも建物のイメージアップに繋がります。
反対に気を付けたいのは、外壁や屋根と相性の悪い色を選択してしまうことや、軒天の劣化具合とそぐわない塗料を選択してしまうことです。
- 白:基本的になんでもOK
- 黒:基本的になんでもOK
- オレンジ:黒・黄
- 茶:紺
- 黄:青・紫
- 緑:赤
クリア塗装を施すために軒天の劣化症状を理解する
軒天の色にクリアを選択する人は特に現在の軒天の劣化具合を把握しておくことが大切です。
軒天は外壁よりも湿気の影響を受けやすい箇所になり、外壁や屋根やその他の付帯箇所とは劣化進行度合いも変わってきます。
主な軒天の劣化症状を紹介します。
色あせ
軒天の経年劣化の症状として塗装の色あせがあります。
劣化症状としては軽度でクリア塗装を施しても問題ありません。
塗装剥がれ
軒天の塗装の剥がれは良く見られる劣化症状です。
劣化の度合いとしては軽度から中度と言った具合です。
ただ、塗装が剥がれれば下地へのダメージへと劣化が進行していきますし、塗装が剥がれてきた段階で再塗装による手入れを行っておくのが望ましいです。
また、東北地方などでは雪止めネットに雪が溜り、昼間は雪が融け出る時にツララになって氷と一緒に塗膜を剥がしてしまうという症状もあります。
この場合には雪止めネットの再設置の検討が必要です。
カビ・藻の付着
軒天は湿気がこもりやすい状態にあるため、カビや藻が発生しやすい環境ではあります。
ただ、実際にカビや藻が発生しているということは軒天の水切れが悪くなっている可能性が高く、軒天のそもそもの役割である『屋根裏換気』が正常に行われなくなります。
こうなると湿気が屋根裏に溜まってしまい最悪の場合にはシロアリが発生してしまいます。
カビ・藻が発生しているというこは軒天周りの危険信号であると捉え、水切り改善のための塗装を検討する時期に来ていると言えます。
シミ
軒天にシミが見られる状態は劣化の症状としては強度です。
軒天のシミの原因はさまざまあり、雨樋の排水処理能力の問題であったり、ベランダ下の軒天のシミの場合にはベランダの床下に問題がある場合もあります。
軒天にシミ跡が見られる場合には、放置しておくと下地の腐食や雨漏りなどの重大なトラブルへと発展していきます。
軒天の塗装と一緒に新しい軒天への交換が必要になる場合もあります。
軒天にシミ跡が見られる場合には早急の点検が必要です。
軒天塗装の費用相場は1平米あたり500円~1,500円
軒天の塗装費用相場は1平米あたり500円~1,500円になります。
軒天への塗装は面積が限られていることからそれほど難しい塗装ではありませんが、それでもケレン作業(目粗し、錆取り)、コーキング処理、下塗り、上塗りと行う必要があります。
特に軒天はカビや藻が発生しやすい箇所でもありますので、よくサンドペーパーやマジックロンでケレン処理を行う必要があります。
この他に、二階部分の軒天を塗装する際には別途足場代がかかることになり、足場代はだいたい10万円~15万円になります。
そのため、軒天の塗装は外壁や屋根と一緒に行うと割安に済みます。
価格を抑えたい方はEP塗料を選ぶことになりますが、水性塗料のため耐候性は若干落ちます。
予算との兼ね合いを見て塗料を選ぶようにしましょう。
ケレン作業とは、塗装する面に対して塗料の密着を良くするために行う作業全般を言います。
主に金属・木材・窯業(ようぎょう)系サイディングに施しますが、コンクリートやモルタルに施すケレン作業もあります。
日陰による見え方のギャップには注意が必要
先日、現場を見に行ってイメージとは違う色に塗装がされていました。
どう見ても、グレーというかねずみ色に見えます。すぐに担当者に問合せましたが、当社ではあれが黒です。
Yahoo!不動産
当社仕様で、そこまで言われたらすべての作業を一々打合せしなければならないので、いいかげんにして欲しいと逆ギレされました。
軒天の色で注意したいのは、選んだ色と実際に軒天に塗装した色で色合いが変わってくることを知ることです。
というのも、軒天は日陰になるので建物のイメージを統一しようと外壁や屋根と同じ色を選択しても、日の当たり方が違うため、実際には同じ色には見えません。
色の見え方を考慮して、軒天の色は最初から何にでも相性の良い白で行うのか、統一感を目指して外壁の黒に合わせて軒天には灰色を使う(日陰の灰色はほとんど黒に見えます)など、仕上がり具合をイメージして選ぶことが大切です。
軒天の色も選べるカラーシミュレーションツール
軒天の色の確認には前田功業のカラーシミュレーションがおすすめです。
前田功業のカラーシミュレーションは、寄棟の建物の1階、2階、屋根、雨樋、破風、軒天の色を選ぶことができます。
ページが軽くサクサク動いてくれるので使っていても楽しいです。
なお、カラーシミュレーションに関しては別ページで、無料で使える物を14個紹介していますので、そちらのページも参考にお使いください。
軒天塗装におすすめの塗料
軒天はカビが発生しやすい場所になりますので、防カビ性のあるEP(エマルションペイント)、NAD(アクリル樹脂系非水分散形)塗料がおすすめです。
最近では、軒天に使用されるケイカル板にも塗装できるNAD塗料がよく使用される傾向にあります。
ちなみに軒天は外壁塗装と同時に行われることが多くなっていますので、使用する塗料も外壁塗装で使用した塗料になることが一般的です。
軒天だけ別の塗料を使用することも可能ではありますが、塗料は一斗缶ごとの発注になるため割高になることは肝に命じておきましょう。
軒天でアクセントを付けて建物のイメージアップを図りましょう
軒天の一番人気は白です。
建物全体で統一感を演出したいなら、外壁と屋根と同じ色で揃えるなどはおすすめです。
- 白色:ダントツ一番人気
- クリア:木材調の軒天なら◎
- 黄色:アクセントカラーとして人気
- 黒色:外壁とその境目がはっきりするのでかっこよくなる
- クリーム色:建物に統一感がでる
軒天は結構人の目に触れるので、劣化具合や色合いで建物のイメージが決まってしまいます。
ただ、外壁や屋根と比べると意識されている人は少なく、気が付いた時にはかなり劣化が進んでいるケースもあります。
また、軒天は塗り残しの多い箇所でもあるので、最後の確認はよく行いましょう。
ちなみに、軒天と混同されやすい箇所に庇(ひさし)がありますが、庇は外壁に直接設置されている小屋根です。
手入れの鉄則でもありますが、軒天は特にトラブルになる前の点検がとても大切な箇所でもありますので、劣化の症状のあるなしに関わらず定期的な点検をおすすめします。
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