記事サマリー
クラックの種類
クラックとは、建設業界用語で外壁のヒビ割れという意味です。
『ヒビ割れ』なんて聞くと驚いてしまいますが、早急に対処しなければいけないクラックと次回の塗装時にメンテナンスしてもらう程度のクラックとあります。
早急に対処しなければいけないクラックを放置してしまえば、雨漏り、白アリなど建物の基礎の部分にまで影響が出てしまい、結果的に膨大な被害に繋がってしまいます。
反対に、軽度のクラックであるにも関わらず業者の言いなりで外壁のリフォームに応じてしまうなどの被害も考えられます。
外壁においてクラックとの兼ね合いは避けては通れませんので、クラックの種類と原因について理解しておきましょう。
そんなクラックの種類は大きく4つに分けられます。
- ヘアクラック
- 乾燥クラック
- 構造クラック
- 縁切りクラック
それぞれに考えられる原因と対策がありますので、是非とも参考にしてください。
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ヘアクラック
ヘアクラックとは、塗膜にできるヒビ割れで髪の毛のように細いヒビであることからヘアクラックと呼ばれています。
ヘアクラックの原因としては、以下の3点が考えられます。
- 経年劣化
- 業者の手抜き工事
- 素地と塗料の相性が悪い
塗料にはそれぞれ目安となる耐用年数がありますが、きちんと塗装を施しても経年劣化によってヘアクックは起きます。
経年劣化によるヘアクラックであれば、単純に次の塗り替えを検討すべき時期ということになります。
ただ、塗装して2~3年しか経っていないのにヘアクラックが発生しだすというのは、業者の手抜き工事である可能性があります。
この場合の手抜き工事とは、塗装は通常3工程で行われますが(下塗り、中塗り、上塗り)、中塗り材が完全に乾燥する前に上塗り剤を施してしまうとヘアクラックによる症状が表れます。
これは管理側の人件費の削減による無理な工期などが原因で起こる手抜き工事です。
一般的には中塗りと上塗りの間は16時間程度の間隔が必要だとされていますし、梅雨時期や冬などは湿気も多いので注意が必要になります。
また、外壁の素地と塗料の相性が悪いことでもへクラックは発生します。
特に、弾性素地に硬質な塗料をあてるとヘアクラックの原因になります。
塗料選定は完全なる業者のミスになります。
ただ、一般的なヘアクラックはヒビの幅も狭く、クラックの中では軽度のクラックと言えます。
ヘアクラックが起きても、建物内部へと雨水や結露が侵入してくるリスクは極めて少ないです。
乾燥クラック
乾燥クラックとは、外壁の乾燥によって塗料が徐々に密着できなくなることによって起こるクラックです。
特に現場で水を混ぜながらつくった、モルタルや土壁を完全に乾燥させずに塗装してしまうこと乾燥クラックが起きやすくなります。
完全に外壁が乾燥すればクラックが大きくなることはありませんし、クラック自体の幅も狭いものが一般的です。
乾燥クラックも早急な手入れが必要なクラックではありません。
構造クラック
構造クラックとは、幅0.3mm以上、深さ4mm以上のクラックになります。
構造クラックの原因は、主に地震、車の通行による揺れ、地盤沈下など建物に外的から強い圧力が加わったことによって外壁内部から割れが起きます。
クラックの中では重度のクラックになり、早急な対処が必要になります。
構造クラックが発生してしまうと、雨水や結露が建物内部に侵入してきますので、雨漏りや基礎の腐食に繋がります。
また、放置するとクラック自体も大きくなってしまうので被害はますます大きくなります。
構造クラックが発生したら早急に業者を呼んでメンテナンスしてもらうことをおすすめします。
ちなみに構造クラックは、一般的に壁に対して横に入ることが多いですが、斜めにヒビが入っているせん断クラックも構造クラックの一つになります。
ちなみにクラック幅を測る時にはクラックスケールと言われる定規で測ると正確に測ることができます。
縁切りクラック
縁切りクラックとは、塗装作業の中断や塗り直しなどによって生じる塗料の不一致によるクラックです。
通常の場合、モルタル外壁やコンクリート外壁では、この縁切りクラックを予防しようと一度に一面を仕上げようと作業に取り掛かりますが、それでも急な雷雨や強風などによっては、作業を中断せざるを得ない状況も発生します。
また、塗り残しに気が付いた業者が塗り直すことでも縁切れは発生します。
一般的に縁切れは横や縦に一直線になることが多く、クラックが起きると広範囲になる恐れがあります。
一日、二日の塗料の不一致であればそこまで塗料に新旧の差はありませんので、クラックも起きにくいですが、一ヵ月、二ヵ月した後での塗りなおしなどは危険です。
もしも塗装後に業者の塗り残しなどに気が付いても、自分で行おうとせずに業者に連絡してその壁一面の塗装をお願いするようにしましょう。
こんなクラックには要注意
- 基礎へのクラック
- 建物に対して横方向に入っているクラック
クラックの種類でも構造クラック、縁切りクラックが危険なクラックであることは紹介しましたが、建物のどこに構造クラック、縁切りクラックがあるかでもクラックの危険度が分かります。
クラックの中でも基礎(建築物の重さを支え、地震などの力に抵抗する構造部分)へのクラックは建物全体に支障を及ぼす危険性のあるクラックです。
本来基礎は、劣化が少ない構造部分です。
ただし、地震などの影響でクラックの影響を受けやすい箇所でもあります。(特に床下換気口付近)
基礎に構造クラック・縁切りクラックが発生すると建物の傾きの原因になるなど危険なクラックになりますので、基礎へのクラックには要注意です。
また建物に対して横方向に入っているクラックにも注意が必要です。
横方向にクラックが入ってしまうと雨水などを吸い込んでしまうため雨漏りの原因となる可能性の高いクラックとなります。
基礎部分に入るクラックは縦方向に入るひび割れがほとんどですがこれは、基礎に使われているコンクリートの乾燥収縮が原因で発生します。
基礎へのクラックも特に横方向へのクラックには要注意です。
横方向に幅の大きなクラックが発生しているようであれば、なるべく早く業者に見てもらうことをおすすめします。
クラックの補修の仕方
クラックが起きてしまってもその種類によっては焦ることはありません。
クラックの種類によって補修の仕方も変わってきますのであらかじめ確認しておきましょう。
大きくクラックは2種類の工法で補修していきます。
- フィーラー補修
- U字カットシール工法
それぞれに特徴がありますので、紹介します。
フィーラー補修
外壁塗装の際、クラック部分にフィーラー(流動性の高い超微粒子セメント)などでヒビを補修していきます。
ヘアクラックや乾燥クラックなどの軽度のクラックの場合には、ほとんどフィーラーによる補修で済みます。
フィーラー添付が済んだら下塗りの為に、下地を整えます。
フィーラー補修は特に難しい作業ではありませんが、一つ一つ丁寧に補修していくことが大切です。
U字カットシール工法
構造クラックや縁切りクラックなどで起きた幅の広いクラックに対して行われる補修になります。
一旦ダイヤモンドカッターでクラックを開く作業が入るのでかなり大きな騒音が発生します。
その後、シリコンコーキングでクラックにフタをし下塗りの為に平らに仕上げていきます。
クラック対策に弾性塗料を使う
弾性塗料とは、塗料の中に伸縮性効果が期待できる硬化剤が配合されている塗料になります。
そのため、外壁にクラックが出来ても塗料が接着効果で追随することができ、雨漏りなどを防ぐことができます。
ちなみにJIS規格6909では、気温20度で伸び率120%以上の性能がある塗料を弾性塗料と規定しています。
ただ、外壁にサイディングを使っている建物は弾性塗料の使用を控えることをおすすめします。
サイディング外壁は、断熱材などの影響で下地が高音になりがちで、ゴム製の弾性塗料は内側からの熱によって柔らかくなります。
その柔らかくなった塗膜とサイディングの間に空気を巻き込むようになり、塗膜の膨れが発生してしまいます。
クラック幅が0.3mm以上は点検の必要あり
軽度のクラック、重度のクラックとあります。
クラックの種類を見極める目が必要になります。
放っておくと建物が傾くなどの支障をきたす場合があります。
- クラックの幅(0.3mm以上は危険サイン)
- どの方向にクラックが入っているか
クラックの種類と原因、補修の仕方を紹介しましたが、大切なのはクラックによって対応を変えることになります。
また軽度のクラックであれば早急な対処は必要ありませんが、それでもクラックの幅が広がっていないかなど気にすることは必要です。
目安になりますが、クラック幅が0.3mm以上であれば、一度業者の点検を受けることをおすすめしていますが、前回の塗装から10年程度経過しているのであれば、検討してもいいかもしれません。
ちなみに、当サイトが行ったアンケートによると外壁塗装をする間隔では、10年~15年スパンで行っている人が43.49%となりました。
一般的にはどこの業者も点検自体は無料で行ってくれます。
なんにしてもクラックは建物に対して良いものではありませんので、クラックの種類を見極めてメンテナンスも視野に入れるようにしましょう。