外壁塗装では一般的な建物のリフォーム(外壁の張り替え・増築・屋根防水工事など)とまではいきませんが、騒音に繋がる工程もあります。
騒音対策というものはありませんが、それでも隣家とのトラブルを回避するために行っておいたほうがいい点があります。
誤解のないように申し上げると、外壁塗装にとって最小限の騒音は避けられません。
外壁塗装の騒音がどの程度のものなのか、騒音に対する隣家からの反応、騒音でのトラブル回避のために行うべきことをまとめましたので、参考にしていただければと思います。
記事サマリー
騒音が懸念される工程
外壁塗装で騒音が懸念される工程は3つです。
それぞれ騒音レベルと一緒にご説明します。
騒音レベルとは、音の大小などを騒音計で計測した値です。
今回の騒音レベルは日本騒音調査の騒音レベル表を参考にしています。
目安①(うるささ) | 目安②(身体/生活への影響) | 騒音値(db) | 騒音発生源と距離(大きさの目安) |
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きわめてうるさい | 聴覚機能に異常をきたす | 120db | ・ジェット(飛行機)エンジンの近く |
110db | ・自動車のクラクション(2m) | ||
100db | ・電車が通るときのガード下 ・液圧プレス(1m) |
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うるさくて我慢できない | 90db | ・犬の鳴き声(5m) ・騒々しい工場の中 ・カラオケ(店内中央) ・ブルドーザー(5m) |
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80db | ・地下鉄の車内 ・電車の車内・ピアノ(1m) ・布団たたき(1.5m) ・麻雀牌をかき混ぜる音(1m) |
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うるさい | かなりうるさい、かなり大きな声を出さないと会話ができない | 70db | ・騒々しい事務所の中 ・騒々しい街頭・セミの鳴き声(2m) ・やかんの沸騰音(1m) |
非常に大きく聞こえうるさい、声を大きくすれば会話ができる | 60db | ・静かな乗用車 ・普通の会話 ・洗濯機(1m) ・掃除機(1m) ・テレビ(1m) ・トイレ(洗浄音) ・アイドリング(2m) |
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普通 | 大きく聞こえる、通常の会話は可能 | 50db | ・静かな事務所 ・家庭用クーラー(室外機) ・換気扇(1m) |
聞こえる会話には支障なし | 40db | ・市内の深夜 ・図書館 ・静かな住宅地の昼 |
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静か | 非常に小さく聞こえる | 30db | ・郊外の深夜 ・ささやき声 |
ほとんど聞こえない | 20db | ・ささやき ・木の葉のふれあう音 |
足場組み・撤去(60デシベル程度)
現在の足場の主流はくさび緊結式足場(通称ビケ足場)になりますが、ハンマーで叩いて各足場を繋いでいくためカンカンと言った騒音(衝撃音)が発生します。
足場組みの際の衝撃音は一時的ではありますが60デシベル程度の騒音です。
足場組みの作業は3~4人態勢でだいたい4~5時間程度必要です。
また職人同士が声を掛け合って足場を組んでいくので、『えいっ』や『はいよっ』と言った比較的大きな声が朝から聞こえるようです。
高圧洗浄(65~70デシベル)
この時に使用される高圧洗浄機はホームセンターなどで売られている電気式のもの(最大噴射は7~9L/min)ではなく、より圧力の強いエンジン式(最大噴射は13L/min以上)のものになり、車がアイドリングしているような騒音が発生します。
騒音レベルとしては65~70デシベル程度です。
高圧洗浄の工程は1日間かけて丁寧に行われます。
高圧洗浄の工程で十分に汚れが除去できなければ、その後の塗料が外壁材と上手く密着してくれず早期の剥がれや浮き、気泡の原因となってしまうことから、外壁塗装の仕上がりを左右するとても大切な工程です。
吹き付け塗装音(70デシベル程度)
吹き付け塗装とは、スプレーガンによって塗料を壁に吹き付けて塗装していく施工法です。
騒音レベルは70デシベル程度です。
また、風の影響によっては塗料が隣家に飛び散る可能性もありますので、注意が必要な施工法です。
ただ、吹き付けによる塗装は、独特な仕上がりになる他塗料の感想が早いことや複雑な形の箇所へも容易に塗装できるなどのメリットがあります。
機材搬出入のための車の出入り(80~90デシベル)
外壁塗装工事に必要な機材を運び入れるために、施工する建物の周辺を車が出入りすることになるので、通常よりもエンジンの音が聞こえます。
機材搬入には、主に中型車以上の車が使われますので(4tトラック以上)、エンジン音の騒音レベルは80~90デシベル程度です。
機材の搬出入は基本的に1日づつになりますが、業者によってはその日使われる塗料を毎日運ぶところもあります。
職人達の話し声
外壁塗装の作業は朝の9時前から始まる所が多いこともあり、職人たちの話し声も騒音として見なされてしまうこともあります。
話し声ですので騒音レベルとしてはそれほど大きくありませんが、、日曜日も作業をするような業者もいますので、目立ちます。
ただ、若い職人が多いような業者だと職人のマナーも悪いことが多く、塗装中にも話しながら行っていることもあります。
都心部では建物と建物の感覚が狭いので外壁を塗装しながら話していても、話し声が聞こえてきます。
そもそも騒音とは、『耳にうるさく感ずる音』を総合した音になりますので、音の大小は問題ではありません。
職人の無駄な話し声に関しては、極力控えてもらうように作業前の打ち合わせで担当者に相談しておくとよいでしょう。
あまりにひどい場合は第三者機関への相談も検討してください。
外壁塗装の相談窓口に関しては地域別にまとめましたので、別ページをご覧下さい。
隣家からのクレームを回避するために挨拶回りを徹底する
外壁塗装では騒音による隣家からのクレームは塗料の臭いと共に毎年トップに上がる項目です。
また、営業車の停車や見慣れない人たちが近所をうろつくことになるので、隣家に不安な思いをさせることにも繋がります。
そのような事を踏まえて、外壁塗装前には隣家への挨拶回りが欠かせません。
外壁塗装の隣家クレームは、ほぼ挨拶回りを怠ったために発生したと言ってもいいくらいです。
挨拶回りでは、自宅を中心に周囲のお宅に徹底して行うようにしましょう。
丁寧に挨拶回りを行うのであれば、騒音が予想される『高圧洗浄』と『足場組み』の工期を隣家に知らせてあげると、隣家も心構えができますし、対策を講じることもできます。
挨拶周りでは、周囲のお宅全てに行うのがポイントで、もちろん不在の時もありますから外壁塗装の約1週間前あたりから挨拶回りを始めるとよいですね。
一回行って不在だからと言って、その後挨拶に行かなければ挨拶に行っていないのと同じで、最悪の場合『私の家にだけ来なかった』などと批判の対象にもなりかねませんので注意が必要です。
騒音による隣家からのクレームは回避することはできる
一番音が発生する作業は 機材搬出入のための車の出入りです。
騒音によるクレームは塗料の臭いと共に毎年トップに上がる項目です。
- 足場組み・撤去(60デシベル程度)
- 高圧洗浄(65~70デシベル)
- 吹き付け塗装音(70デシベル程度)
- 機材搬出入のための車の出入り(80~90デシベル)
- 職人達の話し声
外壁塗装では『高圧洗浄』『吹き付け塗装』『足場組み』『車の出入り』『職人の話し声』が騒音に値すると紹介しました。
外壁塗装にとって騒音は回避することはできませんが、騒音による隣家からのクレームは回避することができます。
手間はかかりますが、その後の住民との関係のことを考えて丁寧に挨拶回りをすることをおすすめします。
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