塩害によって外壁塗装が早期に劣化するトラブルに要注意(※対策あり)

海から近い塩害地域に住んでいる方であれば、塩害が外壁塗装に及ぼすリスクについても理解しておくことをおすすめしています。

塩害(えんがい)とは、海水による塩分の影響で植物や建物が早期に劣化する害になります

塩害による被害やトラブル、対策についてまとめましたので、参考にしていただければと思います。

▼トラブルに巻き込まれる前にご一読ください!

塩害による被害

塩害の被害が考えられる地域としては、海岸からの距離が目安です。

地域重塩害地域塩害地域
北海道海岸から500m以内海岸から500m~7km
関東地方海岸から500m以内海岸から500m~2km
瀬戸内海海岸から500m以内海岸から500m~1km
沖縄・離島海岸から500m以内海岸から500m~7km
その他海岸から500m以内海岸から500m~2km

また、海岸から2km以上離れていても、台風などの強風の時には塩害の影響を受ける範囲も広くなります

主な塩害の影響としては以下の4点が挙げられます。

  • 付帯部分(金属部)のサビ
  • 塗膜の剥げ
  • コンクリートの剥離・剥落(はくらく)
  • 農作物が育たない

特に外壁塗装では、付帯部分の劣化や塗膜の早期劣化が塩害による被害です。

またコンクリート造りの外壁でも、コンクリート内部の鉄筋が塩分によってサビが進行し、膨張してヒビ割れや雨漏りも発生します。

コンクリートでは、目に見えてヒビ割れなどが起きている状態は、かなり塩害による被害が進んでいることが考えられます。

塩害でサビが引き起こされる仕組み

サビが発生するメカニズム
サビが発生するメカニズム

塩害の被害の一つである、サビが発生するメカニズムを紹介します。

金属は塩害に関わらずサビが発生しますが、サビとは腐食です。

鉄の構造はFeの原子と自由電子e-からできていますが、空気や水に触れるとイオン化し、イオンは雨水などによって流れて残された電子が酸化鉄となってサビです。

塩分が含まれる海水は、この劣化サイクルを早めてしまう効果があります。

具体的には海水による塩分によって以下の3つが起因して塩害(サビ)が引き起こされると言われています。

  • 塩の潮解性(塩分が金属表面に水の膜を形成してしまう)
  • 電解質(塩分に含まれる電解質が水中でプラスとマイナスに分かれる)
  • 塩化物の機械的強度の低さ(一度サビが発生したらサビの進行を抑える作用が低く)

ちなみに鉄は、湿度が高い環境でサビが進行していく性質にありますので、梅雨や冬期間に最もよく進行が進みます。

塩害対策方法

塩害地域にある建物は、通常よりも劣化スピードが早いことは紹介してきましたが、では塩害地域にある建物の劣化については諦めるしかないのかと言えば、そんなことはありません。

きちんと塩害対策を講じることで被害を最小に抑えることができます。

意識すれば行える対策を紹介します。

こまめな洗浄を行う

塩害は海水に含まれる塩分が外壁や付帯部分に付着することで、サビが進行したり、塗膜の早期劣化を引き起こします。

そのため、こまめに外壁や付帯部分の洗浄をすることで塩害による被害を抑えることができます。

なおその際は、高圧洗浄機などは使わずに、ホースとブラシで優しくブラッシングするようにしてください。

ゴシゴシと洗ってしまうと、塗膜までそぎ落としてしまうことにもなります。

特に、台風や強風後には洗浄することをおすすめします。

グレードの高い塗料を使う

グレードの高い塗料を使って、外壁や屋根を塗装する事で塩害から建物を守ることができます。

樹脂グレードごとの耐用年数
  • アクリル:5~7年
  • ウレタン:8~10年
  • シリコン:10~15年
  • ラジカル制御型:12~15年
  • フッ素:15~20年
  • 光触媒・無機:15~20年

出来れば、塩害地域ではラジカル制御型以上の塗料をおすすめします

フッ素や光触媒塗料の特徴でもありますが、親水性に優れた塗料ですので壁に付着した海水をセルフクリーニング効果で雨水と一緒に洗い流してくれます。

サビ汚れだけでなく、エフロレッセンス、土砂汚れ、鳥の糞、樹液などにも有効に作用してくれます。

各メーカーが販売している耐塩害用の塗料を選ぶのもおすすめです。

また、ガラスコーティング(液体ガラス塗料)を施す事で塩害から外壁を守るという手段もあります。

ガラスコーティングは通常の塗料と違い完全無機質で構成された塗料ですので、塩害だでなく紫外線などの劣化からも守ってくれます。

室外機や給湯器は塩害仕様にする

サビが進行する箇所としては、室外機や給湯器などの付属設備も影響してきますので、外装部品や内装部品など潮風によるサビ・腐食に強い素材を使った塩害使用のモデルを選ぶとよいでしょう。

その際は、潮風が直接当たる場所ではなく、建物の陰になる場所などに設置することをおすすめします。

給湯機などは、建物内部(屋内設置タイプ)に設置してしまったほうが理想的です。

塩害地域はこまめなメンテナンスがおすすめ

塩害とは?
塩害とは、海水による塩分の影響で植物や建物が早期に劣化する害です。
塩害によってサビ・塗膜の剥げ、コンクリートの剥離・剥落などが懸念されます。
塩害対策は?
こまめに外壁や付帯部分の洗浄をすることで塩害による被害を抑えることができます。
高圧洗浄機などは使わずに、ホースとブラシで優しくブラッシングするようにしてください。

塩害地域にある建物は塩害対策を行うのと行わないのでは建物の寿命が変わってきます。

こまめな洗浄などは確かに手間ではありますが、こまめに行う事で汚れがこびり付かずによく落ちます。

それが後の大きなトラブル(雨漏り・基礎の腐食・シロアリ)の回避にも繋がります。

こまめな洗浄が行えない人は、最低限台風や強風後には業者に洗浄を頼むなどの対策を講じるようにしましょう。

そのため、塩害地域ではメンテナンスにも対応してくれる地域密着の業者を選ぶことも大切です

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